日本の文化を支える職人技で蘇える!和家具と修理方法について解説

古くから日本で愛されている和家具は、西洋家具とつくりが大きく異なります。ペンキではなく自然素材の漆を使い、釘などを使わずに組み立てられた家具は、さまざまな仕掛けが施されているのです。

 

そんな優れた和家具でも、不具合が生じた際は修理が必要になってくるでしょう。今回の記事では、和家具と職人技、修理方法について詳しく解説します。

和家具の特徴や様式について

和家具は、日本の生活様式に合わせてつくられた家具で、西洋家具のように脚がついていません。ここでは、和家具の特徴や様式について詳しく説明します。

釘などを使わないで組み立てる指物家具

釘などを使わずに、木材に凹凸をつけて組み立てる家具を指物家具といいます。ほとんど金属を使わずに箪笥や机、座卓などを仕上げるため、代々受け継がれている技術でもあります。

漆の重ね塗りが織りなす塗り物家具

漆の木から採取した樹液を使って、何度も重ね塗りをすることで、美しく鮮やかな色に染められます。漆黒や鮮やかな朱色など、日本独自の色味をまとった塗り物家具は、お正月や結婚式などの「ハレの日」に使われています。

民衆のためにつくられた民芸家具

美しさよりも実用的を重視した、民芸家具と呼ばれるものもあります。民衆のためにつくられており、その土地に合わせた家具が生まれてきました。そのため、地方によって家具の特徴や特色が異なります。

伝統を受け継いできた光る職人技とは

和家具は、伝統を受け継いだ職人の技術によって、古くから伝わってきました。ここでは、和家具の修理を担った職人技について詳しく説明します。

指物師によって組み立てられる

和家具は、指物師のような技術を持つ職人によってつくられてきました。釘や金属部品によって継ぎ合せた家具とは違い、凹凸を組み合わせてつくり上げる和家具には、外からは見えないように組み立ての仕掛けが施されています。そのため、豊富な知識と経験がなければ対応ができません。

 

さらに、優れた熟練の技術によって数ミリ単位の微調整がされ、何代でも受け継がれる家具がつくられているのです。

色あせても美しい仕上がりにする塗師

長年使われてきた和家具は、塗られた漆がほどよく色あせてきます。漆を繰り返し塗られることで家具は美しい光沢やツヤを放ち、高級感を身にまといます。耐久性に優れ、接着剤の役割を持つ漆は、日本の文化や生活を支えてきました。

 

また、次の時代に和家具の魅力や良さを伝えていくためには、漆塗り職人の伝統技術が必要となります。

職人は、自然由来の原料を扱い、何度も重ね塗りをすることで輝きと強さを与え、時間が経つにつれての美しさを演出します。塗師の技術は家具を蘇らせながら、文化も次世代へつないでいるのです。

和家具の修理について

壊れてしまった和家具を自分で修理すると、より状態が悪化してしまうこともあります。ここでは、和家具の修理がどのように行われるのかを詳しく紹介します。

木材の不具合を解体・調整

和家具の木材は、湿気や水分を含んで膨らみます。さらに、乾燥によって反ることで使用時に不具合を引き起こします。箪笥の引き出しが引っかかる場合、力任せに使い続けてしまうと壊れる原因になってしまうでしょう。

 

修理の際は、職人が不具合を確認し調整していきますが、キズなどで調整できない場合は、交換するために解体をします。解体した場合、より長く使えるように、漂白で防虫・消臭をしてから、再度組み立て仕上げていきます。

古くなった金属部品の修理や交換

金属部品は、時間の経過とともに腐食してさびたり、壊れたりすることがあります。金属は磨くことで輝きを取り戻せますが、壊れてしまった場合は交換することになります。

 

古い家具の場合は、同じ部品を使うことは難しいですが、職人によって同じ形の部品をつくって取り付けることもできるのです。

家具や仕上がり感に合わせた塗装

色あせてしまった家具に、塗装をして見た目を美しく仕上げ、新たな雰囲気を演出できます。塗装方法は、防腐・防水効果のある柿渋仕上げやオイルを使った仕上げなど、家具や仕上がり感に合わせて選べます。たとえば、カシュー塗装の仕上がりは漆のような光沢のある質感を与えるでしょう。また、カラーバリエーションが豊富なウレタン塗装は、耐久性が高いほか、好みの色に加工できます。

 

なお、和家具は漆で塗装されていますが、再度漆を塗ると高額になってしまうケースもあります。そのため、ほかの塗装方法を選ぶことも選択肢の一つです。

まとめ

欧州などでは、アンティーク家具を修理して使い続けることが多く、日本でも同様に和家具や古い家具を取り入れている方が多くいます。しかし、古い家具の修理は、つくりが複雑で色の再現も難しいケースがあるため、適切に対処しなければ、せっかくの家具を劣化させてしまう可能性もあるでしょう。

 

大切に家具を使い続けるためにも、信頼できる技術を身につけた職人に相談してみてはいかがでしょうか。「小林宝林堂」では、熟練の職人による家具修理を受け付けております。職人の技によって蘇えった家具は、暮らしに彩を与えてくれるでしょう。家に眠る和家具で気になる点がございましたら、ぜひお気軽に職人にご相談ください。

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