輪島塗の特徴を徹底解明!4つの作業工程をご紹介します

多くの人に愛されてやまない輪島塗の産地は、石川県の輪島市です。石川県輪島市で作られている輪島塗の特徴は「美しい塗り」にあります。この塗りはどのようにして作られているのか、作業工程を詳しく解説します。また、輪島塗には課題も残されているので、現状を知っていただくためにご紹介します。

輪島塗の産地とは

輪島市では塗りの美しい輪島塗が有名ですが、それだけでなく日本三大朝市として有名な輪島朝市や、無形文化財にも指定されているお面を付けて太鼓を打ち鳴らす御陣乗太鼓も有名です。

 

輪島市には輪島塗の丈夫な土台となるケヤキやアスナロ、ミズメサクラの木と、輪島塗の美しい塗りを実現するために欠かせないウルシの木が多く生えていたので、室町時代の初期に誕生して以来大きく発展してきました。その高い技術は何世代にもわたって受け継がれ、現在も伝統工芸品のひとつとして大切にされています。

輪島塗の作られ方とは

輪島塗特有の美しい塗りは、どのようにして作られているのでしょうか。輪島塗には大きく分けて「木地」「下地」「上塗」「加飾」の4つの工程があります。1人が順番に工程をこなすのではなく分業制となっていて、木地担当の人はひたすら木地を作ります。分業制の採用で各々の技術を磨き、輪島塗にはそれぞれの高い技術が結集されています。それぞれの工程を詳しくご紹介しましょう。

木地

「木地」とは、輪島塗の土台となる木のことをいいます。使用する木材は伐採後2~3年かけてしっかりと乾燥させてからまず粗削りし、また1年近く乾燥させてはじめて本削りに移ります。本削りにも複数の工程があり、その工程によって異なる専用の道具を使いながら少しずつ細かく削って形を整えます。このように乾燥を繰り返しながら、時間と手間をかけて土台を完成させるのです。

下地

輪島塗の特徴が、この「下地」作りにあります。輪島塗は漆器の中でも丈夫なことで知られていますが、それは他の漆器にはないこだわりが下地にあるからです。輪島塗ではウルシの樹液に珪藻土の粉を混ぜたものを塗り、木地を補強します。お椀など縁が欠けたり割れたりしやすいものに関してはさらに布をあてがって補強する「布着せ」が行われることもあり、より頑丈に仕上げられます。この下地作業があるからこそ、塗りが美しく輝く輪島塗が生まれるのです。

上塗

「上塗」の工程では、できあがった下地の上からウルシの樹液から不純物を取り除いた後に熱を加えた「なやし」というものを均一になるように塗っていきます。生の樹液ではなくこのなやしを使用することで、いつまでも色あせることのない美しい塗りを実現します。上塗の途中で下地にホコリが付着すると、これまでのすべての作業が台無しになります。そのため、職人は専用の部屋で集中して作業を進めていきます。

加飾

「加飾」の工程では、漆器ならではのツヤを出すために傷を付けないように丁寧に研磨します。研磨後にはさまざまな技法の装飾を施すのです。ゆっくりと乾く漆で模様を描いた上から金や銀の金属粉を蒔いて絵にする「蒔絵」や、表面にノミで模様を彫ったところに漆をすりこんで金属粉を埋める「沈金」という技法が用いられます。とくに沈金は輪島塗ならではの伝統技法として、人気を集めています。

輪島塗の課題

輪島塗は伝統工芸品として指定されているだけでなく、国の重要無形文化財として認められたものです。日本のみならず世界に誇るべき美しい輪島塗ですが、今後の課題として「国産の漆不足」と「後継者不足」の2点が挙げられます。それぞれ詳しくご説明します。

国産の漆不足

ウルシの木の樹液が採取できるのは1年のうちで4ヶ月しかない上に、1本のウルシの木から採取できる樹液は決して多くありません。明治以降、国産の漆が恒常的に不足しているため中国産の漆を輸入して使用せざるを得ない状況です。輪島市では国産の漆を増産するために、国の援助のもとウルシの木の植樹・栽培が進められています。

後継者不足

伝統技術を身につけるには根気が必要不可欠ですが、技術を習得する前に離脱してしまう若者が多いのが現状で、輪島塗職人の後継者が不足しています。輪島市にある研修所では全国から後継者を募集し、奨励金制度なども整えるなど後継者不足の解消に取り組み中です。

まとめ

輪島塗は石川県輪島市で作られたものです。木地・下地・上塗・加飾の4つの工程を分業してそれぞれの職人が高い技術をつぎ込むことによって、輪島塗ならではの特徴である美しい塗りが生まれています。国産の漆不足や後継者不足といった今後の課題も残されていますが、国の重要無形文化財としてその技術は大切に継承されています。

 

東京日本橋にある「小林宝林堂」は、昭和20年に創業しました。漆器や和家具の修理を専門に行っています。漆器の中でもとくに人気の高い輪島塗について丁寧に修理を行いますので、ぜひ一度お立ち寄りいただければ幸いです。輪島塗以外にも、お手持ちの漆器を修理したい方もスタッフ一同お待ちしております。

 

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