日本全国の伝統工芸品の漆器の種類とは?本漆とその他の違いについても解説

漆器の伝統工芸品は日本全国で生産されています。使い込むうちにさらに風合いが変わり愛着が増していく漆器ですが、その種類は数多くあります。この記事ではその中でもとくに有名な輪島塗や山中漆器などの6つの漆器についてご紹介するとともに、本漆と合成漆などの違いについても詳しく解説します。

漆器の種類とは?

漆器に利用されている樹液は漆の木から採取していますが、漆の木は日本全国にあり、昔からその土地ごとにさまざまな漆器の伝統工芸品が作られてきたため、漆器は全国に数多くの種類があるのです。

 

ひとつの漆器を長く使い続けるのもいいものですが、さまざまな種類の漆器をその時々に応じて使い分けるのもおすすめです。漆器の伝統工芸品の中でもとくに有名な6つの漆器をご紹介します。

輪島塗

漆器といえば輪島塗を思い浮かべる方は多いと思いますが、輪島塗とは石川県の能登半島に位置する輪島市で作られた塗りが美しい漆器のことです。輪島塗の技術は室町時代から継承され続けて現在に至ります。

 

輪島塗では木材で土台となる木地を作り上げた後、漆を塗る作業だけでも20以上の工程がありますが、とくに下地にこだわっています。珪藻土の粉を混ぜ込むことによって、多少の衝撃でも欠けにくくて丈夫な漆器を生み出しているのです。

山中漆器

山中漆器は輪島塗と同じく石川県で作られた漆器です。石川県の中でも加賀市の山中温泉地区で作られたものを山中漆器と呼び、浮かび上がる美しい木目が特徴となっています。毎日の日常生活で使いたくなる漆器のひとつです。

 

持った時に手にぴったりと馴染むように作られた自然な曲線と温かみのある木目は、木地作りの技術の高さによるものです。「木地の山中」と呼ばれるほど、その技術力は日本中に広く知れ渡っています。

金沢漆器

金沢漆器は石川県金沢市で作られた漆器で、蒔絵が描かれているのが特徴です。蒔絵とは漆で描いた模様や絵が乾ききらないうちに金や銀などの金属粉を蒔いて付着させるもので、蒔絵が施された金沢漆器は豪奢で華やかな印象を与えます。

 

石川県は金箔の産地ということもあり、漆器と金箔、蒔絵の技術が融合して、見る人の心をとらえてやまない金沢漆器が生まれたのです。茶道具や調度品として多くの人に利用されてきました。

越前漆器

越前漆器は福井県鯖江市で作られている漆器です。諸説あるものの越前漆器の歴史の始まりは大和・飛鳥時代までさかのぼるといわれており、非常に歴史のある漆器のひとつです。

 

昔ながらの製法を引き継ぐ一方で、漆に合成樹脂を混ぜ込んで使用して本漆さながらの風合いを持つ漆器の製造もおこなっており、外食産業で使用されている食器の約8割を担うほどにまで成長しています。

小田原漆器

小田原漆器は神奈川県小田原市で作られている漆器です。木地には堅いケヤキを使用しているので、長く使い続けても歪まず丈夫なのが特徴です。

 

小田原漆器は木地をろくろで削り、その上から漆を塗る伝統技法で作られています。木の風合いが生かされて木目の美しさを身近に感じられる漆器となっているので、普段使いにぴったりなものになっています。

高岡漆器

高岡漆器は富山県高岡市で作られています。漆のつややかな面に薄くなるように研磨した貝殻で装飾したきらきらと輝く青貝塗や、中国の明時代の漆器を参考にして生み出された独特の絵が美しい勇輔塗、彫刻と漆塗りを組み合わせて力強い印象が特徴的な彫刻塗の3つの技法があります。

 

どれも美しさを追求して作られていて、高い技術力が伝わってきます。多くの人に愛されて利用されてきました。

本漆とその他の違いとは?

漆器には塗りの作業で漆の木の樹液だけを使用している「本漆」の他にも種類があります。伝統工芸品はすべて本漆となっていますが、ものによっては他の種類の場合もあるので、購入の際には必ず確認しましょう。本漆以外の漆器に似せて作られたものの特徴についてご紹介します。

合成漆

合成漆は漆の木の樹液に合成樹脂を混ぜたものが塗られています。本漆とは違って、使い込んでも風合いが変わることはありません。

カシュー漆

カシュー漆には漆が使用されておらず、漆器のように見えるように作られたものです。つやはよく似ていますが、漆器独特のにおいはありません。

ウレタン漆

ウレタン漆にも漆は使用されていませんが、非常に安価かつ丈夫なため本漆とは違って食洗器で食器を洗うことも可能です。

まとめ

さまざまな漆器の種類の中から、輪島塗や山中漆器など有名な伝統工芸品の一部をご紹介しました。伝統工芸品は本漆ですが、販売されているものの中には合成漆などがある可能性があるので、購入の際にはよくご確認ください。

 

昭和20年に創業した「小林宝林堂」では和家具や漆器の修理を承っており、全国の漆器の逸品を丁寧に修理いたします。お客様が大切に使っていらっしゃる漆器を修理させていただくことができますので、ぜひご持参ください。当店は地下鉄銀座線・半蔵門線の三越前駅から徒歩3分、JR総武線新日本橋駅から徒歩5分の場所にありますので、皆様ぜひお気軽にお越しください。

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